あるとき、札幌から横浜に移り住んで来られた CHIEさんは、友人の切り絵作家の原画を私に見せてくださった。黒のA4程度の大きさの用紙を精密に切り抜いた聖書を題材にした切り絵作品である。オリジナルティーにあふれた魅力ある切り絵は、そのまま画集にして出版して欲しいと思える見事なクオリティーであった。
その切り絵を創作している澤田知子(Tomoko Sawada )さんは全く無名で、まだ世に知られていない「普通の主婦」であるという。このような魅力ある作品がこのまま世に埋もれたままであるのは惜しすぎると、CHIEさんは横浜に移り住んだのを機会にこの切り絵作品を世に出すためのプロデュースをしたいと語ってくれた。
しかし、大きな展覧会で受賞した経歴があり、それなりの創作活動を続けて来たアーチストの作品であるならば、プロデュースするのもそれほど難しくはないであろうが、「全く無名で普通の主婦」の切り絵作家の作品をどのようにプロデュースしたら良いのか当初は見当もつかなかった。とりあえずプロデュースをするためのBIGI ART を立ち上げ、作品を紹介するためのインスタグラムを開設し、売り込み活動を開始したのである。
知り合いから出版社を紹介され、原画を持参し訪ねて作品の素晴らしさを知ってもらっても、今後の展開見据えた満足な条件は得られなかった。絵葉書程度の大きさのものを出版しても作品の魅力は伝わらず、何よりもオリジナル作品の素晴らしさを多くの人に知っていただく必要があったのである。
しかしある日、CHIEさんから銀座教文館三階ギャラリーで切り絵作品の展覧会を開けるようになったとの連絡があった。銀座教文館といえば、銀座のど真ん中にある老舗書店であり、日本で最初のプロテスタント教会共通の讃美歌発行元である。教文館のギャラリーはあの日本の代表的影絵作家・藤城清治の展覧会も開催したことのあるギャラリーである。
全く無名のアーチストの作品を評価し、多くの方が来場しやすい期間を確保し、よくも貸し出してくださったものだと私は驚いた。銀座といえば多くの画廊があり、多くの画家は銀座で個展を開いたということをプロフィールに載せるために使用する場所でもあるからだ。
教文館がギャラリーの貸し出しに動いたのは、聖書をモチーフとした切り絵作家・澤田知子さんの作品の原画の素晴らしさと共に、CHIEさんの熱意であった。どれほどこの作品の素晴らしさを伝えることができるかは、プロデュースする人がその作品の魅力を十分に知っていることであるが、その熱意が教文館に伝わったのである。
そしてなによりも、原画そのものを見ていただくことが、その作品のすばらしが一番伝わることになるので、プロデュースのためのスタート台に立つことができたのである。そして今 「Tomoko Sawada 展」を機会に、少しずつその切り絵作品のプロデュース活動が今動き始めている。
障害を持った息子さんの療育や訓練は行って来てはいたが、一年だけでも周りの子どもたちが通う幼稚園に入れたいと思いで幼稚園を訪ねた。しかし障害を理由にどこの幼稚園も受け入れてくれなかったという。唯一キリスト教系の幼稚園があり、障害をもっていた息子さんを受け入れてくれることになった。その幼稚園は、我が子のように息子を大切にしてくれた先生と温かい保護者たちがいた幼稚園であった。そして、とても感謝な一年を過ごすことができたと彼女は語っている。
数年後、幼稚園の息子さん担当であった先生から、ママ友であったイギリスからの宣教師が帰国したので、会いに行こうというお誘いがあった。最初はお茶会にでるつもりで出かけたがその場所は教会であった。これがきっかで澤田さんは教会に通い聖書を学ぶようになったのである。
聖書を学びはじめた当初は、「聖書のお話は良いお話だが、自分には必要ない」と思ったそうだ。しかしその後も熱心に教会に通うようになり、気づいたら洗礼を受けていたという。「何ともあべこべな話ですが」と断り、洗礼を受けたあと、もし神様が「ほんとうにおられるなら信じることができますように」と祈ったというのである。すると、礼拝で聞くメッセージがすべて自分のことであるように聞くことができるようになっていた。
以来、聖書に記されている様々な教え、出来事は、自分の生き方と深く関わっていることに気づき、それが彼女の切り絵作品のモチーフともなったのである。
「Tomoko Sawada 展」銀座教文館三階ギャラリー 8月6日(火)〜8月18日(日)
主よ あなたはみことばのとおりに
あなたのしもべに良くしてくださいました。
良い判断と知識を私に教えてください。
私はあなたの仰せを信じています。
苦しみにあう前には 私は迷い出ていました。
しかし今は あなたのみことばを守ります。
あなたは いつくしみ深く
良くしてくださるお方です。
どうか あなたのおきてを私に教えてください。
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