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津軽塗のすばらしさに気づかせてくれる
映画「バカ塗りの娘」

 8月に弘前市土手町にある「津軽塗たなか」で津軽塗の箸を購入したとき、レジのところで弘前市を舞台にした映画「バカ塗りの娘」の映画チラシを目にしました。伝統工芸「津軽塗」は漆塗りを「何十回もバカ丁寧に塗りを繰り返す技法」であるところから「バカ塗り」とも言われています。津軽塗りは以前から興味があったことと、弘前市が舞台ということでぜひ観てみたいと思っておりましたが、9月1日に遂に全国でも封切りになりました。

 冒頭から津軽塗りの色づくりのシーンがあり、まるでドキュメンタリー映画のように、津軽塗の製作シーンが丁寧に数多く出て来るので、思わず見入ってしまいます。さらに、主人公の堀田真由さんや父親役の小林 薫さん、おばあさん役の木野 花さんの演技も自然で役にはまっているので、弘前市に実在している人のように見えて来ます。

 父親の清司郎の漆工房には、実際の津軽塗職人、松山継道さんが長年作業されていた漆工房をそのままま借りて撮影しているので、セットとは違う実際の職人の現場の息遣いを感じさせてくれる作品になっています。映画プロデューサーの説明では、「漆塗りの道具や漆を完成させる漆風呂はもちろん、床や壁、天井に至るまで、漆と時間の染み込んだ様子は、まるでひとつの作品のような、圧倒的な存在感がありました」と語っていますが、画面を見ていてもその津軽塗りの制作現場がリアルで飽きない理由は、そこにもあったのかと思います。

 伝統的な津軽塗りも需要の減少で津軽塗職人が激減していると言われていますが、最後のシーンは、津軽塗の魅力が世界に広がっていくかも知れないと予感させるものでした。観終わったあとは、津軽塗りの箸だけではなく、もっと手間をかけている高価な津軽塗りの作品が欲しいと思ったのは私だけでしょうか。時代が移り変わっても、ぜひとも残しておきたい伝統技術のすばらしさに気づかせてくれ映画です。

「バカ塗りの娘」予告
今日の聖書 マタイの福音書9章16~17節

  だれも、真新しい布切れで古い衣に継ぎを当てたりはしません。そんな継ぎ切れは衣を引き裂き、破れがもっとひどくなるからです。また、人は新しいぶどう酒を古い皮袋に入れたりはしません。そんなことをすれば皮袋は裂け、ぶどう酒が流れ出て、皮袋もだめになります。新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れます。そうすれば両方とも保てます。」