いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべてのことにおいて感謝しなさい。これが、キリスト・イエスにあって神があなたがたに望んでおられることです。Ⅰテサロニケ5章16〜18節

2024年08月

新しいエルサレム 天の御国

切り絵作家・澤田知子さんの聖書との出会い

 あるとき、札幌から横浜に移り住んで来られた CHIEさんは、友人の切り絵作家の原画を私に見せてくださった。黒のA4程度の大きさの用紙を精密に切り抜いた聖書を題材にした切り絵作品である。オリジナルティーにあふれた魅力ある切り絵は、そのまま画集にして出版して欲しいと思える見事なクオリティーであった。

 その切り絵を創作している澤田知子(
Tomoko Sawada )さんは全く無名で、まだ世に知られていない「普通の主婦」であるという。このような魅力ある作品がこのまま世に埋もれたままであるのは惜しすぎると、CHIEさんは横浜に移り住んだのを機会にこの切り絵作品を世に出すためのプロデュースをしたいと語ってくれた。

 しかし、大きな展覧会で受賞した経歴があり、それなりの創作活動を続けて来たアーチストの作品であるならば、プロデュースするのもそれほど難しくはないであろうが、「全く無名で普通の主婦」の切り絵作家の作品をどのようにプロデュースしたら良いのか当初は見当もつかなかった。とりあえずプロデュースをするためのBIGI ART を立ち上げ、作品を紹介するためのインスタグラムを開設し、売り込み活動を開始したのである。

kkkkk

 知り合いから出版社を紹介され、原画を持参し訪ねて作品の素晴らしさを知ってもらっても、今後の展開見据えた満足な条件は得られなかった。絵葉書程度の大きさのものを出版しても作品の魅力は伝わらず、何よりもオリジナル作品の素晴らしさを多くの人に知っていただく必要があったのである。

 しかしある日、CHIEさんから銀座教文館三階ギャラリーで切り絵作品の展覧会を開けるようになったとの連絡があった。銀座教文館といえば、銀座のど真ん中にある老舗書店であり、日本で最初のプロテスタント教会共通の讃美歌発行元である。教文館のギャラリーはあの日本の代表的影絵作家・藤城清治の展覧会も開催したことのあるギャラリーである。

 全く無名のアーチストの作品を評価し、多くの方が来場しやすい期間を確保し、よくも貸し出してくださったものだと私は驚いた。銀座といえば多くの画廊があり、多くの画家は銀座で個展を開いたということをプロフィールに載せるために使用する場所でもあるからだ。

百人隊長の信仰

 教文館がギャラリーの貸し出しに動いたのは、聖書をモチーフとした切り絵作家・澤田知子さんの作品の原画の素晴らしさと共に、CHIEさんの熱意であった。どれほどこの作品の素晴らしさを伝えることができるかは、プロデュースする人がその作品の魅力を十分に知っていることであるが、その熱意が教文館に伝わったのである。


 そしてなによりも、原画そのものを見ていただくことが、その作品のすばらしが一番伝わることになるので、プロデュースのためのスタート台に立つことができたのである。そして今 Tomoko Sawada 展」を機会に、少しずつその切り絵作品のプロデュース活動が今動き始めている。

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 切り絵作家の澤田知子さんは、北海道札幌市出身で北海道美術専門学校で美術を学び、卒業後はPOP制作に七年間携わった方である。彼女が聖書を題材にした切り絵作品創作をはじめることになったきっかけは、障害をもった息子さんの誕生を機会に息子のための療育活動に専念しはじめたことにあった。
切り絵作家澤田知子 母子

 障害を持った息子さんの療育や訓練は行って来てはいたが、一年だけでも周りの子どもたちが通う幼稚園に入れたいと思いで幼稚園を訪ねた。しかし障害を理由にどこの幼稚園も受け入れてくれなかったという。唯一キリスト教系の幼稚園があり、障害をもっていた息子さんを受け入れてくれることになった。その幼稚園は、我が子のように息子を大切にしてくれた先生と温かい保護者たちがいた幼稚園であった。そして、とても感謝な一年を過ごすことができたと彼女は語っている。

 数年後、幼稚園の息子さん担当であった先生から、ママ友であったイギリスからの宣教師が帰国したので、会いに行こうというお誘いがあった。最初はお茶会にでるつもりで出かけたがその場所は教会であった。これがきっかで澤田さんは教会に通い聖書を学ぶようになったのである。

ノアの方舟

 聖書を学びはじめた当初は、「聖書のお話は良いお話だが、自分には必要ない」と思ったそうだ。しかしその後も熱心に教会に通うようになり、気づいたら洗礼を受けていたという。「何ともあべこべな話ですが」と断り、洗礼を受けたあと、もし神様が「ほんとうにおられるなら信じることができますように」と祈ったというのである。すると、礼拝で聞くメッセージがすべて自分のことであるように聞くことができるようになっていた。

 以来、聖書に記されている様々な教え、出来事は、自分の生き方と深く関わっていることに気づき、それが彼女の切り絵作品のモチーフともなったのである。

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澤田知子さん近影
イエスとトマス
「Tomoko Sawada 展」銀座教文館三階ギャラリー 8月6日(火)〜8月18日(日)

 「今日の聖書」 詩篇 119篇65~68節 
 

 

主よ あなたはみことばのとおりに

あなたのしもべに良くしてくださいました。

良い判断と知識を私に教えてください。

私はあなたの仰せを信じています。

苦しみにあう前には 私は迷い出ていました。

しかし今は あなたのみことばを守ります。

あなたは いつくしみ深く

良くしてくださるお方です。

どうか あなたのおきてを私に教えてください。


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銀座・教文館と「Tomoko Sawada展」の裏エピソード


 銀座のど真ん中にある教文館は、アメリカから派遣されたメソジストの宣教師たちが、伝道用の書籍やトラクトを販売したり出版するために東京築地で開催された年会で組織を結成したときに産声をあげています。1885年(明治18年)9月9日のことで、これが教文館誕生の日となりました。ちなみに青山学院も教文館を立ち上げたメソジストの宣教師たちによって創設されています。

 その後、書店を東京、長崎、横浜に開きますが、家賃が高くて長くは続かず閉鎖になるのですが、1891年に、東京銀座に書店を開店し、現在に至るまで銀座の老舗書店・出版社として知られ、多くの人々に親しまれて来ました。

 そして1906年(明治39年)には、四階建ての瀟洒なビル(下写真)を現在地に建てたのがはじめての自前ビルになり、現在の教文館ビルは1933年(昭和8年)に竣工となっています。当時の写真を見ると九階建ての教文館ビルの周りには、ほとんど高いビルがないので飛び抜けて目立つ建物として銀座四丁目にそびえ立っています。

 銀座四丁目交差点と言えば服部時計店や三愛ビルが銀座のシンボルとなっていますが、現在地に教文館が建てられた時の住所は銀座四丁目一番地(現在は五番地)で、三越や松坂屋が銀座進出以前ですから、教文館は銀座のど真ん中に130年以上存在していることになり、銀座の移り変わり史の目撃者的な存在です。

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 その銀座教文館三階ギャラリーにおいて、86日(火)から818日(日)まで、「Tomoko Sawada 展」が開催されています。銀座ど真ん中の教文館三階ギャラリーで開催されている切り絵作家の澤田知子(Tomoko Sawada)さんは、全国的に見るなら無名の作家ですが、「Tomoko Sawada 」で、澤田知子さんの作品を見たなら、この作家がなぜ無名であるのか信じられないほどの素晴らしい作品が展示されています。


 この澤田知子さんの作品をプロデュースしているのが、BIGI ART(ビギアート)の代表の MIURA CHIE さんです。澤田知子さんとは、北海道札幌にある厚別福音キリスト教会の教会員でしたが、CHIE さんは澤田知子さんの切り絵作品に接したとき、その切り絵作品の素晴らしさ、クオリティーの高さ、オリジナリティーに感動して、どうしてこの方の作品が世に知られないままでいるのかと不思議に思ったそうです。


 Tomoko Sawadaの作品が世に知られない理由の一つに、澤田知子さんのお子様に障害があり、お子様の療育に専念されていたことにあります。そして、39歳の時にイエス・キリストに出会い、療育のかたわら聖書の物語を切り絵で表現するようになります。そして創作された切り絵を描きためて、その作品の一部が「Tomoko Sawada 」に展示されているのです。

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 同じ教会の会員であった CHIE さんは、横浜に居を移したとき、何としても、澤田知子さんの切り絵作品が埋もれたままであってはならないという強い思いから、BIGI ARTを立ち上げ、プロデュースすることにしたのです。そのための様々なプロデュース活動を始めたのですが、その一つが教文館への売り込みでした。

 教文館では、澤田知子さんの切り絵作品の素晴らしさとともに、澤田知子さんの作品に惚れ込み、何としてでもこのアーチストの作品を世に出したいというCHIEさん の熱意に動かされ、全国的にほぼ無名のアーチストの作品を一番人が集まりやすい期間に銀座教文館三階ギャラリーでの開催をバックアップしています。全国的には無名の作家の作品の価値を認め、教文館ギャラリーでの開催を後押している銀座・教文館の英断もさすがと思わされますが、これまで埋もれていた素晴らしい切り絵作品が、さらに多くの人に知られ、その活躍の場が広がっていくことを心から願っています。

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 「今日の聖書」 マタイの福音書 13章44~46節 
 

 

 天の御国は畑に隠された宝のようなものです。その宝を見つけた人は、それをそのまま隠しておきます。そして喜びのあまり、行って、持っている物すべてを売り払い、その畑を買います。

 天の御国はまた、良い真珠を探している商人のようなものです。高価な真珠を一つ見つけた商人は、行って、持っていた物すべてを売り払い、それを買います。


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