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北村徳太郎(着席左)アデナウアー首相(着席右)1950年
 

 北村徳太郎といえば、片山内閣の運輸大臣、芦田内閣の大蔵大臣を歴任し、日ソ貿易などで多くの功績を残し、後の日本のリーダーらに影響を与えた人物として知られています。

 彼は1886年京都に生まれ、銀行員としてスタートし、播磨造船所支配人を経て、佐世保商業銀行頭取、佐世保商工会議所会頭など経済の分野で大きな功績を残しますが、最初勤めていた銀行が倒産し、播磨造船の事業と関係していた鈴木商店の面接を受けたとき彼はこのように答えます。

 「わたしは仕事の好き嫌いは言いません。これをやれとお命ぜられるなら、わたしが不得手なことでもやります。ただ私はクリスチャンですから、神の御旨に反すること、私の良心が許さないことは絶対にやりません。このことを承知しくださって何でも命じていただきたいのです」。

 人事課長はこの答えが気に入り徳太郎を採用しました。その後、播磨造船の事務課長として事業の拡大に貢献し、やがて実業家としても政治家としても、「時代の良心」と言われるほどのなくてはならない存在となるのです。

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 北村徳太郎は、子どもの頃からだが弱く、少年時代のほとんどを病床で過ごし、友だちと一緒に遊びかけずりまわった経験がほとんどなかったと言われています。また、家では5年間に6度も葬式を出し、二人の兄も若くして亡くなってしまったという経験をします。そこで、死の問題について深く考えるようになり、その解決を求めて読んだ本がロシアの文豪トルストイの本でした。

 そして、トルストイが影響を受けたという聖書を熱心に聖書を読むようになり、やがて教会に通い始めます。それから2年ほどたった夏初めて富士山に登り、詩篇の8篇を読みこの壮大な宇宙と大自然を創造された神を自分という小さな物差しで測ろうとした愚かさに気づくのです。そして無に等しい人間に深い愛情を示されている神を信ずる決心に導かれ、下山して洗礼を受けクリスチャンとして歩み始めるのです。



  あなたの指のわざである あなたの天

  あなたが整えられた月や星を見るに

  人とは何ものなのでしょう。

  あなたが心に留められるとは。

  人の子とはいったい何ものなのでしょう。 

  あなたが顧みてくださるとは。

 若き日に死の問題の解決を求め続けた北村徳太郎は聖書を通して、永遠の世界に導かれ、彼を苦しめていた死の問題の解決に導かれます。その結果、人を恐れない生き方を貫き通すことができたのです。そして彼の通っていた教会での奉仕は来会者のためのスリッパを並べることであり、周りの人々もそれを当たり前のように受け入れていたそうです。


 さくら

今日の聖書 ヨハネの福音書11章25~26節

 

  イエスは彼女に言われた。「わたしはよみがえりです。いのちです。わたしを信じる者は死んでも生きるのです。また、生きていてわたしを信じる者はみな、永遠に決して死ぬことがありません。あなたは、このことを信じますか。