オー・ヘンリー(O. Henry)は短編小説の名手と呼ばれていますが、「最後の一葉」は、愛と希望が人を生かすこという真理を教えてくれる感動的な内容です。
この作品のあらすじは、重い肺炎を患って生きる気力を失った女性が、窓の外に見える煉瓦の壁を這う蔦の葉を数え、「あの葉がすべて落ちてしまったら自分も死ぬ」と思ってベッドに横たわっていたところ、一晩中激しい風と雨が吹き荒れ、朝にはとうとう蔦の葉は最後の一枚になってしまうという危機から不思議なことが起こり始めます。
どうしたわけか、その残った一枚は、その次の夜の激しい風雨でも落ちることなく壁に留まっていたのです。来る日も来る日も落ちないで蔦についているのを見ているうちに、その女性は生きる気力を取り戻し、やがて全快していくのです。実はその落ちなかった一枚の葉は、彼女の住んでいたアパートの階下の老画家が、「葉が落ちてしまったら自分は死んでしまう」と思い込んでいる彼女の事を知り、彼女に生きることの希望を与えたい思い、嵐の中で煉瓦の壁に絵筆で描いたものでした。
落ちなかった一枚の葉の絵を描いた老画家は、二日後に肺炎でこの世を去ります。それを知ったもう一人の画家は、老画家が最後に煉瓦の壁に描いた最後の一葉こそ、老画家がいつか描いてみせると言い続けて来た傑作であったことを知るというところでこの物語は閉じられます。
老画家が自分を犠牲にして嵐の夜に煉瓦の壁に一枚の葉を描くという出来事の背後にあったのは、愛と犠牲でした。私はこの「最後の一葉」を読むと、イエス・キリストが自らを犠牲にして十字架にかかり、私たちの救いの道を開いてくださった愛を思い起こすのです。
しかし、私たちがまだ罪人であったとき、キリストが私たちのために死なれたことによって、神は私たちに対するご自分の愛を明らかにしておられます。
「こういうわけで、いつまでも残るのは信仰と希望と愛、これら三つです。その中で一番すぐれているのは愛です。」(コリント人への手紙13:13 )