イエス・キリストの故郷ナザレには、乙女マリヤが天使から受胎告知を受けたという洞窟の上に建てられた「受胎告知教会」があります。この会堂の中には日本人の画家長谷川路可の下絵による「華の聖母子」が展示されています。
この絵の下絵を描いた段階で長谷川路可は天に召され、弟子たちがその下絵をもとにヴェネツィアの工房を借りて制作し、分割し船便で運んだものをイスラエルの職人たちがこの教会の壁面に貼り付け完成させました。
イスラエル旅行でこの絵を見た時には、かなり目立つ位置に展示されていたことと、その大きさと、いかにも日本人的な母子像になっているのを見て驚きました。受胎告知教会には、日本だけではなく、世界各国の「マリヤと幼子イエス」の絵が展示されています。
ギリシャのものはまるでイコンの絵のように伝統的なものになっていましたが、タイや韓国のものは日本と同じく民族衣装をまとっているので、これまでのマリヤと幼子イエスのイメージを覆すものになっています。
それまで、欧米人の描いたマリヤとイエスは金髪になっているのを見て、白人中心のイエス像だと思っていましたが、日本人の描いたきわめて日本的な聖母子の絵を見ているうち、世界の救い主である主イエスが、それぞれの国の人々のイエス像で描かれることは、何も不思議なことではないと思うようになりました。
なお長谷川路可は、長崎で殉教した二十六聖人の「」の絵も描いています。雅号の「路可」はカトリックに入信した時の洗礼名が「ルカ」からのもので、本名は「龍三」です。日本におけるフレスコ画やモザイク壁画のパイオニアとしても知られ、長崎にある日本二十六聖人記念館には、二十六聖人の長崎までの旅を描いた「長崎への道」のフレスコ画が展示されています(下の写真)。
ところで、その六か月目に、御使いガブリエルが、神から遣わされてガリラヤのナザレという町のひとりの処女のところに来た。この処女は、ダビデの家系のヨセフという人のいいなずけで、名をマリヤといった。御使いは、入って来ると、マリヤに言った。「おめでとう、恵まれた方。主があなたとともにおられます。」しかし、マリヤはこのことばに、ひどくとまどって、これはいったい何のあいさつかと考え込んだ。
すると御使いが言った。「こわがることはない。マリヤ。あなたは神から恵みを受けたのです。ご覧なさい。あなたはみごもって、男の子を産みます。名をイエスとつけなさい。その子はすぐれた者となり、いと高き方の子と呼ばれます。また、神である主は彼にその父ダビデの王位をお与えになります。彼はとこしえにヤコブの家を治め、その国は終わることがありません。」
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