多くの人に愛され、カラオケなどでもよく歌われている「ハナミズキ」という曲があります。この曲のサビの部分、「薄紅色の可愛いい君のね 果てない夢がちゃんと終わりますように 君と好きな人が百年続きますように」は、多くの人の心をつかみ、祈りにも似た思いを込めて歌う人が多いようです。しかし現実には百年続くどころか、三年も続かないケースがあり、なかなか現実は願い通りにはいきません。
人が好きな人を選ぶ場合、意識的であろうがなかろうが、「やさしい」「性格が良い」「好みの外見」などの条件づけがなされています。しかし、そのように選んだはずの好きな人が、自分の選んだ条件を失ってしまったり、期待はずれであったりすると、嫌いになったり関係が崩れてしまうことがあるのです。
1974年、ドラフト外で長嶋巨人軍に入団し、江川卓投手らと共に活躍した西本聖(にしもと・たかし)投手がいます。西本夫人は美人ということで有名でしたが、1981年に自宅台所のガスが爆発し大火傷を負いました。幸いにその火傷も回復し退院するとき語った言葉が新聞で紹介され大きな感動を呼びました。
「退院できて何が一番うれしかったですか」という記者の問いかけに西本夫人は、大やけどで入院し、顔に包帯がぐるぐると巻かれているときに夫がやって来て、「おまえがどんなになってもオレは決して捨てない!」という言葉をかけてくれたことだと答えました。外見がどうなろうと夫は変わらずに自分を愛し続けてくれていることを知った喜びはどんなに大きかったことでしょうか。このあと西本投手は開幕投手に指名され、勝利投手となります。そのウイニングボール持って夫人の入院している病院に向かい、ボールを手渡したという感動的なエピーソードが残っています。
多くの場合、好きな相手に愛される資格や価値がある場合は愛され続ける。しかしその価値が失われたとき、見向きもされなくなり、関係も続かなりやすいものです。しかし、神の愛の選びの基準は、その選ばれる者が、神の愛に値する価値をもっているかどうかという基準ではなく、神の愛による一方的な選びです。神の愛と選びは百年どころか、永遠に続くゆるぎないものです。